2003.9.26(金)〜10.07(火)
彼岸花賛歌

豊田市・松平郷にて  9/26
松平郷では季節の移り変わりが早い。コムラサキやシロシキブが紫や白の実を付けていました。


上の写真は津具村9/29、下は松平郷9/26で。

知らないうちに花茎が伸びて、お彼岸の頃になるとある日突然出現して驚かされます。葉っぱのない真っ赤な
花が血を連想させ、昔から彼岸花はちょっと苦手でした。日本に自生する彼岸花は、有史以前に中国大陸から渡
来したといわれます。球根(鱗茎)にリコリンやセキサニンのアルカロイド(植物が持っている塩基性物質の総称)を
含む有毒植物ですが、よく水に晒してデンプンを採って食用とされた時期もあり、昔は飢饉に備えて田んぼのあぜ
道に植えたとか。食用・薬草などの用途により人間の手で各地に広がった彼岸花ですが、やがて利用されなくなる
と放置され雑草!となったのだそうです。日本の彼岸花は減数分裂をしない三倍体(普通の植物はニ倍体で、遺
伝をつかさどる染色体を二組持っている
)で、葉や花は大きくなるのですが、種をうまく作ることが出来ません。シャ
ガも(種なしスイカも!)三倍体植物で、やはり種を作りません。稀に種が出来ても発芽はしないそうです。このように
球根の分球によって繁殖する為、最初に植えられた人間の生活圏外には広がらず、現在では田んぼのあぜ道や
土手そして墓地等に多く見られるのも、うなずける話です。またその毒性の故、かつてはモグラ除けとして石垣と共
に棚田を守ったそうですが、下の写真では終わってしまったのかまばらでした。燃えるような鮮やかな色のとても美
しい花です。彼岸花を見ると確実に移り行く季節を感じます。岡崎の奥殿陣屋には、ピンクや黄色や白などが赤に
混ざって群れ咲いていますが、今年は残念ながら行きそびれてしまいました。たくさんある別名の中には、ハミズハ
ナミズ(葉見ず花見ず
という呼名もあっておもしろいですね。でもやっぱり彼岸花にはちょっとひいてしまうかなあ。

鳳来町・千枚田  10/7
棚田では稲穂を干す風景が見られました。下のほうでは蕎麦の花が満開です。

額田町・千万町
ゼマンジョウ  10/2
見渡す限り一面の蕎麦畑。 横を走る334号線を大型トラックが地響きをたてて通り過ぎます。

新城市浅谷付近。  10/7
この辺りはいつもいろいろな花が群れています。現在はコマツナギが彼岸花の下で大群を作っています。





単子葉植物ユリ目ヒガンバナ科ヒガンバナ属

漢方では、鱗茎をよく水で洗い乾燥したものを石蒜(せきさん−根が蒜ニンニクに似る)といい、以前は
去痰・解毒・催吐薬に用いられたそうですが、毒性が強い為に現在では外用(湿布等)のみに用いられると
のことです。この写真を見て、法隆寺の柱を思い出しました。この茎の描く線はまさにエンタシスの柱です。
お手本はごく身近にあったわけですね。