ねおだに根尾谷の淡墨桜うすずみざくら
岐阜県本巣郡根尾村板所
もとすぐんねおむらいたしょ

2002.4.2(火)

1500年余の時を越えて、今年も鮮やかな花を咲かせてくれました。
約50年程前に、枯れ死寸前の状態から、238本の根継ぎを施されて
見事に蘇った老桜が、その10年後に今度は伊勢湾台風の直撃を受け
て再び無残な姿になってしまいました。村人の努力も成果を現さず、ぽ
つんと侘しく立つ老桜。その痛々しい姿に胸打たれた、作家の宇野千代
さんの訴えに、県知事が保護に乗り出し、起死回生をはかったのです。
以来、数度の手術を施された薄墨桜は、薄墨公園の若い桜たちに見守
られ、支柱に支えられてもなお、凛とひときわ見事に咲き誇っています。




まつわる話を聞くだけでも痛々しい感じがするのですが、当の桜とい
えば、生かされているというイメージもありますが、広々と明るい場所で
見事にあっけらかんと咲いているのですね、これが。しばらく見ていると
支柱の存在も気にならなくなり、この樹の持つ確かな生命力を感じます。
近くに、最初に施術をした前田翁の碑が建っていて、三千年も生きよと
言葉が残されていました。根尾谷の薄墨桜は、過去も現在もこれから先
も、多くの人たちの努力により咲き続けて行くことでしょう。後世に引き継
ぐべき大事な遺産なのだと思いました。沢山の人たちが、公園のあちこち
で桜を見上げながらお弁当を広げていました。大渋滞にもめげずひと目
見ようとやって来る人間達を面白おかしく老桜が見ているなんて・・ね。


まだ雪の残る能郷白山。白山信仰の霊山として
古くから根尾谷を見守ってきた山です。