2002.8.23(金)
醒井の梅花藻
キンポウゲ科キンポウゲ属バイカモ
滋賀県坂田郡米原町醒井(さめがい)
北陸道・米原ICより21号線を関ケ原・岐阜方面へ5分位
もしくは名神・関ケ原ICより21号線を米原方面へ20分位
醒井(さめがい)
は、江戸時代、中山道の宿場町として栄えた町です。
中山道は江戸を起点とした五街道(東海道・中山道・甲州街道・日光街道・奥州
街道)の一つで、東海道とともに江戸から京都を結ぶ重要な街道です。別名で木曾街
道とよばれるように山中を抜ける街道ですので、東海道より道中は険しかったと思わ
れます。東京から埼玉・群馬・長野・岐阜・滋賀を通って京都に入る、およそ540km
・69宿場からなる街道です。東海道を国道1号線とするならば、中山道は現在の国道
17・18・142・20・19・21・8号にあたるでしょうか。醒井の駅より21号線を渡って
5分程で、21号線と名神高速にはさまれて続く旧中山道と地蔵川にたどり着きます。
梅花藻(バイカモ)は、キンポウゲ科の水生多年草で、年間15℃位の浅い清流の中
でだけ育ち、毎年初夏から晩夏まで梅の花に似た白い小花を咲かせます。自生地は、
醒井の他は、中津川市と富士山の湧水が流れる静岡県三島市などがあげられます。
地蔵川の水の深さはちょうど子供の膝くらい。川沿いの家はむろんのこと、道を
はさんだ向かい側の家々も、自分の「カワト」-
階段状の洗い場-
があるれっきとした生活用
水なので、ヤカンが浸してあるのは当たり前、ビールだって冷やしてありました!その
横で、流れに藻を長く引いた梅花藻の小さな白い花が咲いていました。水中で咲く花
は急流に耐えて幾分か中開きに、また水面上に突き出るように咲く花はきりりと流れ
に逆らうように咲いています。地蔵川沿いには桜の木や、見事な枝ぶりのサルスベリの
木が植えられていて、四季折々の景色を織りなします。流れの緩やかな所では、その
サルスベリの赤い花びらが、梅花藻の白い花と鮮やかなコントラストを見せています。
加茂神社「居醒いざめ
の清水」に始まった地蔵川と、中山道が分かれる所に架かる
二つの橋の間近辺が、流れも速く、悠々と泳ぐハヤや、梅花藻の間を見え隠れしなが
ら、素早く動きまわるハリヨの姿を観察するのに、最適の場所だと思われます。天然
記念物のハリヨも、最近ではめったに見られなくなったそうです。藻の陰に見たと思
ったものは、小さなハヤだったのかもしれませんが、童心に戻ったひとコマでした。
中山道沿いにある了徳寺には、樹齢150年ほどですが、とても見事な大木の、国の
天然記念物に指定されている「オハツキイチョウ」と呼ばれる銀杏の雌株があります。
普通のイチョウの木と違って、葉脈が太くなり葉の面に実がつく不思議な木です。全
ての実が葉の面に付くわけではなく一割程度のようですが。オハツキイチョウは、全国
でも40数本確認されていて、そのほとんどが天然記念物です。オハツキイチョウが何故
出来るのかよく分かっていませんが、一説に、「先祖返り」があります。植物のルーツ
に近いものにシダがあり、シダは胞子を葉の裏に付けます。銀杏も年老いていくと、
太古の昔の先祖の記憶を思い起こして、葉の裏に、種である銀杏を付けるのではない
でしょうか。他に葉の上に種をつける植物として、
「花筏
はないかだ」
があげられます。
左お葉付き銀杏 右ハリヨ(地蔵堂横の湧水場・水槽の中)
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