2008.6.8(日)
伊古部のささゆり群
豊橋市伊古部町南椎ノ木谷
林の斜面一体にササユリが満開です。お茶のサービスをしていた女性が言うに、「子供の頃はいっぱい咲いていたのに、いつの間
にか絶えてしまって。ひょっこり咲いた株の種を大事に育てて増やし、ようやくここまでになったの。でもなかなか思うように咲かないね。」
ササユリは日本古来のユリで、中部地方以西に自生し、万葉の時代から親しまれてきました。大きな花が風に揺れ動くことから
「ユリ」と呼ばれ、万葉集には「さ百合花」として歌われています。ただし、この「さ百合花」は特定の百合を差すものではないようです。
燈火(あぶらひ)の 光に見ゆる 我が縵(かづら) さ百合の花の 笑まわしきかも 大伴家持(万葉集 巻十八 4086)
(私がつけた百合の髪飾りが燈火の光に輝いて、とても微笑ましいことですよ。)
奈良時代の政治家であり歌人である大伴家持が、越中の国守として赴任していた時、招かれた宴会の席で詠まれた花が、サ
サユリであるとは断定出来ませんが、少なくとも「ヤマユリ」もしくは「ササユリ」であろうと言われています。地方の下級貴族にとって、
まさに雲の上の人である家持をもてなそうと、「さ百合」の花縵(髪飾り)を作って、酒宴の席に並べたのでしょうか。かんざし様なのか
花輪なのかは、想像の外です。儀礼上かもしれりませんが、少なくとも貴人を喜ばせたようです。独断と偏見ですので、あしからず。
斜面の上から下の方へ倒れこむように傾いて咲いていたササユリです。笹に似た葉に昨日の雨粒が残っています。
ササユリ笹百合 ユリ科ユリ属 学名:Lilium japonicum 日本原産なので、学名にはジャポニカと付いている。
<休憩所の急坂を登ったところに展望台があって・・・。>
眼下の表浜海岸、そして広がる遠州灘です。梅雨時のぐずついた天候ですが、何とか雨も降らず持ちこたえています。
沖では、サーファー達が波を待って待って選んで・・・ようやく乗れました。撮れました。
浜辺では釣り人が竿を支えてじっと立ち続けていました。波が寄せて返して、足元を濡らして返して・・・。